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大好きなものに囲まれて暮らす

西元さんご夫妻とお会いしたのは2006(平成18)年。永井建設のかじ取りに苦労していた頃です。「プレカット全盛」「工期の平均3カ月」という時代の変化に対し、「うちはうちの今までのやり方を大切にしていこう」と決めたものの、売り上げは低迷。「時代遅れなのか」「やっぱり無理なのか」とさまざまに葛藤していた時期です。

当時、こんな家を建てたいと温めた私たちの想いは、ノート3冊と模型3つに膨らんでいました。それを持って何軒か工務店や設計事務所を回ったものの、良い顔をされなくて…。僕たちの膨大な想いを快く受け止めてもらえたのが、永井建設さんだったんです。

打ち合わせに何度もご夫婦で訪ねてきてくださって3歳の娘が飽きてぐずりだすと社長が抱っこしてあやしてくれたり、「今度にしましょう」と娘の気持ちを優先してくれたり。私たちのたくさんのこだわりを、嫌な顔一つせず聞いてくださいましたよね。本当にありがたかったです。

入母屋造りの大工主導で建ててきた私たちにとって、西元さんの想いに一つひとつこたえていくことは、新鮮であり、楽しみであり、やりがいでした。こういう形でかかわれば、お客様と一緒に楽しみ、自分たちの技術や経験を生かした家づくりができる。自分たちに求められていることがはっきりと見えた貴重な機会になりました。

お二人とも海外のモダン家具やインテリアに造詣が深く、好きな調度品を自分たち流に取り入れて暮らしたいというこだわりをお持ちで。それまでの永井の家づくりとは異次元の発想。私たちにとっては、新しい感性のお二人が、永井の工法で家を建てたいと言ってくださるのがうれしくて。なんとしても夢を実現して差し上げたいと力が入りました(笑)。

コンセントの位置一つとってもこだわりが強かった私たちの家づくりに、いつも感じ良く耳を傾けてくださった。そして、「これはどうですか」「こういうやり方もありますよ」と提案やアドバイスをしてくださる。それに甘えて、「ワイヤーチェアを置くLDは、昔ながらの尾曳天井にしたい」とか「建具は古いガラスの入ったものにしたい」とか、どんどん欲求が膨らんで…さぞ面倒な施主だっただろうなぁと思うんですよ(笑)。

西元さんは、棟梁と一緒に山へ木を見に行ったり、刻みの技術を教えてほしいと大工と一緒に木の皮をはいだり。面白がって、楽しんで、自分から家づくりにどんどん参加される。今や定番になった永井流家づくりの原点です(笑)。

私たちのこだわりに最後まで嫌な顔一つせず、夢を形にしてくれました。娘たちはこの家が大好きです。もちろん自分たちも。住むほどに愛着が増す家です。