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WORKS

懐かしいけど新しい

橋本さんのご相談は「雨漏りを直して、安心して住めるようにリフォームしたい」という内容でした。

祖父の代に建てた家具工場の2階が、両親と私との住まいでした。南北に長くて日当たりが悪く、狭くて使いにくい造りだったのですが、私にとっては祖父母や両親との思い出がたくさん詰まった場所。愛着が強くて、不便や不自由をずっと我慢して住んできました。けれど、老朽化で年々雨漏りがひどくなり、もう限界でした。

ご自宅に伺って雨漏りの個所を詳しく調べたら、想像していた以上に腐食が進み、構造的にも危険な状態でした。雨漏り解消と耐震化工事のため、搭屋を撤去し、屋根を葺き替え、谷樋を換え、2階部分が完全に骨組みだけになりました。こんな大がかりな工事になるとは思われてなかったでしょう?

確かに、最初は雨漏りだけを修理する程度の、簡単な工事を想定していたので、大変なことになったなと思いました(笑)。でも、問題の個所を見ながら丁寧に説明を受けるうちに、自分の素人判断の危うさがよーく分かったし、プロにお任せするのが一番だと納得できました。

橋本さんはフルタイムのお仕事をされていて、日中はなかなかお会いできないので、工事に入る前にしっかりと打ち合わせをして、工事中も気になることはメモなどを通してその場その場で対応するように心がけました。そうはいっても、住みながらのリフォーム工事は、日々、業者が出入りする上に暮らしに不便を強いられる時期もあり、いろいろとストレスがたまるものです。実際にどうでしたか。

リフォーム後、最新のものに囲まれるのではなく、昭和のにおいがするような素朴な感じの家にしたい。永井さんはそんな私の想いをちゃんと理解してくれて、職人さんもみんな一つになって、最後まで気持ちよく工事を進めてくれました。毎日、家に帰って変化を見るのが楽しみで…。面と向かって言葉を交わさなくても、心が通じ合っていると感じることができました。工事が終わったときは、寂しさを感じたくらいです(笑)。

職人たちも、毎朝、橋本さんのメモを見るのが楽しみでした。連絡事項だけじゃなくて、工事に対する感想とか喜びとかを書き添えてくださったので、元気づけられたって。お引き渡しの後、わざわざ職人たちを招いてカレーパーティーまで開いてねぎらってくださって、ありがたかったです。

自分も永井建設のチームの一員のように感じていました。工事が進んで、完成後の姿が見えてくると、自分も何かしなくちゃという気になって、今まで納屋にためていた不用品をおもいきって処分。背中を押してもらいました。リフォームを機に念願のシンプルな暮らしが実現しました。

空間の間取りはフレキシブルに。建てた当時のこだわりを懐かしく感じられるように天井裏を半分見せ、ベンガラの襖と色を合わせた赤いコードをセッティング。橋本さんらしい、明るくやさしい空間になったと思います。

友達がよく遊びに来るようになったんですけど、みんな長居するんですよ。「帰りたくなくなる。落ち着くわー」って (笑)。